時間のかかる搭乗をスキップできる便利なシステム、
スキップサービスはどのようにして始まったのでしょうか

非接触IC「FeliCa」を搭載した「ANAマイレージカード」や、「ICアプリ」を搭載したスマートフォン、さらに、二次元バーコード「QRコード」を利用した、スキップサービス。

まさにデジタル媒体を利用した新しい時代のサービスなのですが、ANAはなぜスキップサービスを導入したのでしょうか。

これはやはりコスト削減といのが最大の理由みたいですね。

原油価格が最近はどんどん上がっています。
これにより、チケットの紙代や印刷代も、馬鹿にならないです。
チケットレスにすれば経費削減になります。

国際航空運送協会(IATA)は、
「2008年5月末までに、加盟航空会社全社がチケットレスになり今後は電子チケットに移行する」
という指標を掲げていました。

ちょっと強引な気もしますが、これも時代の流れだったのでしょう。

2007年8月ANAの発表によりますと、チケットレスにすることにより、年間なんと5億円のコスト削減につながるそうです。

チケットレスになれば、自動チェックイン機の台数も減りますので、その分、機械のメンテナンス費用などの削減もできます。

どちらかといえば、航空会社側のメリットが大きいような気がしますが、経費が浮いたら、その分、飛行機代を安くしてくれると嬉しいですね。

JRは、早くから非接触IC「FeliCa」を搭載した「Suica」を導入することで、コストの面や乗車時間短縮、キセル防止など多くの成果を挙げていました。

飛行機はその小回りが効かないシステムの関係もあり、鉄道に遅れを取っていましたが、こういったIT環境が整備されればそれだけ航空を利用する人が増えるという狙いもあったのかと思います。

余談になりますが、航空の場合事故が起こると規模があまりにも大きいので大きくとりあげられるのですが、事故の発生率でいうと断然、飛行機の方が少ないんですよね。

なので飛行機が気軽で便利になれば利用する人も増えるかもしれませんね。

スキップサービスと切っては切れない関係にあるのが「ANAマイレージカード」に搭載されている「FeliCa」と、携帯電話の画面に表示できる二次元バーコード「QRコード」です。

FeliCaについて

QRコードについて

「FeliCa」はSuicaにも利用されているのですが、さらにANAが目を付けたのが「Edy」です。

ANAマイレージカードにEdyという電子マネーを合わせることでマイレージを身近なものにさせる狙いがありました。

なぜ「Edy」に目を付けたのかと言いますと、以前日本の航空業界は、ANA(全日空)JAL(日本航空)、JAS(日本エアシステム)の3社のシェア争いでした。

「国内線はANA、国際線はJAL」というイメージがあったのですが、ANAはビジネスマンの出張や一般の人が国内旅行などで貯めたマイルを海外旅行で使うといったビジネス戦略が功を奏して国際線の利用率も高めていました。

その甲斐もあり、当時シェアの半分はANA、残りはJALとJASという状況でした。

しかし2004年にJALとJASが統合したことにより、ANAとJALの国内線での競争が対等になると、国際線の規模ではANAは不利です。

そこでANAが考えたのが、マイレージカードに電子マネーのEdyを搭載して、より「ANAマイレージクラブを身近なものにする」ということでした。

2003年以前のANAマイレージクラブでは、マイルの使い道は航空以外にはなかったのですが、電子マネーのEdyを搭載することにより、航空以外でも利用できるようになったのです。

マイルを貯めて航空やEdyで使えて、さらにまたマイルが貯まるという循環を作る。このマイルとEdyの相互関係による、好循環を得るために「FeliCa」搭載のマイレージカードを採用するようになったのです。

さらにこのEdyは、携帯電話(おサイフケータイ)でも使えることもあり、20代~30代の特に女性を中心にユーザー(ANAマイレージクラブ会員)が、どんどん増えているようです。

EdyはANAとタッグを組む事により、Edy利用可能店舗のインフラ整備にも力を入れています。

さらに、当初EdyはANAのカラーである青と同じく、青を基調としたデザインにすることで、Edy=青=ANAという心理的要素を含む戦略で、潜在顧客をつかむアピールもしていました。
現在Edyは楽天Edyとなり、赤になってしまいましたが。

JALはJR東日本(つまりSUICAですね)と提携していますが、ANAもJR東日本など各鉄道と提携をどんどん結んでいき、SUICAやPASMOなど交通系カードのチャージでたまったポイントをマイルに交換出来るようになりました。

利用者としては便利になるのはいいのですが、テクノロジーを駆使して便利な機能が増えすぎて、システムの使い方がわかりずらくなって、便利なはずが便利じゃなくなったり、「コレは使えるけどコレは使えない」みたいな企業の利益を優先するようなことは、カンベンしてもらいたいですね。なるべく1本化してもらいたいものです。